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magnolia~日々是好日

雑記帳。日々のできごと。思いつくままに。 本館『magnolia』の日記代わり。

「博士の愛した数式」

博士の愛した数式
小川 洋子

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新潮社 2003-08-28
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後悔しています。
この本を安易に「通勤のバスの中で読む本」に選んだことを。

もう、1ページごとに涙が出そうになるんです。
記憶が80分しかもたず、数字と子供を愛した博士の言葉の一つ一つや、
そんな難しい雇い主に愛情を持って精一杯接する年若い家政婦さんのひたむきさとか、
まだ子供なのに、相手を思いやる心を持ったルートの言葉のひとつひとつに、
心がじんわりとして、涙があふれてくるんです。

設定が「記憶が80分しかもたない数学者」という独特なものであるため、
そういった特殊な展開を期待して読む方もあるようですが、
これは「愛」をテーマにした小説だと思います。
毎日の日常の中にある「愛」。
積み重ねることはできないけれど、確かにそこには毎日新しい「愛」があるのです。

博士の愛したものは「数」と「子供」と「阪神タイガースの江夏豊」
博士は言う。

物質にも自然現象にも感情にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないのだ。



見返りを求める愛ではなく、捧げるだけの愛。注ぐだけの愛。
どうしたらそんな愛し方ができるのだろう。

語り手の家政婦さんも、その子供のルートも、みんな「本当の愛」を知っている気がする。


読み終わってから気付いた、この本の登場人物に名前がないことを。
この本に出会った偶然に、感謝する。
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  1. 2006/08/30(水)|
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  3. 読書 |
  4. トラックバック:0|
  5. コメント:2
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コメント

私もこの本は読みました。
期待していなかった分、感動しました。
ブログでも触れているので、また気が向いたら見てください。
完全数 28(http://udaryu.blog13.fc2.com/blog-entry-192.html
  1. 2006/09/03(日) 19:36:48 |
  2. URL |
  3. りゅう
  4. [ 編集]

きっと

りゅうさんは読んでいるだろうな~、と思ったのです。
だって、タイガースだもの。
わたし自身はタイガースファンではないけれど、それでもとても良かったです。
また、読み返したくなる本です。
涙が出てくるのが、困るんですけどね。
  1. 2006/09/04(月) 11:30:04 |
  2. URL |
  3. 木蓮
  4. [ 編集]

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